臓器別治療法


<トリプルネガディブ乳がんの抗がん剤感受性試験
(CD-DST法)の結果から最適の治療方針を考える>



 TNBC(トリプルネガディブ乳がんの略)の治療、とりわけ術後化学療法については、他のタイプで使用される標準療法とされる治療が意味を成さないことは既に明らかです。
 TNBCに全く奏功しないアントラサイクリン系薬剤、奏功する可能性が低いタキサン系薬剤を標準療法として「最高の治療」だと言い張る医師も少なくありませんが、この医師たちが果たして3〜5年後も同じ事を主張しているものか大変疑問です。

 まずはCD-DST法の結果を参照してください。



【CD-DST法における抗がん剤感受性の報告】
  ※高感受性の順位で並べています。

 1)カルボプラチン
   75%で感受性あり/その内50%で高感受性

 2)5-FU
   62.5%で感受性あり/その内37.5%で高感受性

 3)シスプラチン
   57.1%で感受性あり/その内28.6%で高感受性

 4)イリノテカン
   25.0%で感受性あり/その内12.5%で高感受性

 5)ナベルビン
   37.5%で感受性あり

 6)ドセタキセル
   25.0%で感受性あり

 7)パクリキセル
   同上

 8)〜11)エピルビシン、ジェムザール、アドリアマイシン、エンドキサン
   感受性は0%


 抗がん剤感受性試験の結果とは無関係ですが、TNBCではエベロリムスと化学療法の併用は奏功性を向上させます。 特にタキサン系+エベロリムス併用療法は、再発TNBCで有効例が相次ぎ充分検討してよい治療法と言えます。
(※2009年ASCO No.1055, Jounal of clinical oncology Vol27 No.27 2009, p4536-4541も参考にしてください。)

 エベロリムスは内服なので、このような最新の治療法に理解がない一部のがん拠点病院に通院している乳がん患者さんの中には、ご自分で内服管理されている方が少なくないと聞いています。そうした医師はなぜこんなにTNBCにタキサン系が有効なのか判らないままかもしれません。

 尚、EGFR過剰発現は半数程度に見られますが、肝心のEGFR阻害剤イレッサ、タルセバの奏功性とは一致しません。 これらのEGFR阻害剤は15〜25%程度で奏功すると考えられますが、どう言うタイプが奏功するかバイオマーカーは今のところなく、現時点ではFirst-lineとしては使えません。

 それに対してアバスチンは今までの投与経験からするとトリプルネガティブ乳がんに反応しやすいので、できるだけ早期からの使用を推奨します。

 以前から当サイトでは、アバスチンは全ての乳がんに対して使用される薬ではなく、TNBCに限定すべき薬と主張してきました。さらに2010年ASCO No.1109にあるように、アバスチンが奏功しやすいかどうかVEGFRを調べる事ができれば理想的です。これによりアバスチンがどのタイプの乳がん患者に投与すれば有効か判明します。

 しかし米国FDAが全ての乳がんに対してアバスチンの投与を行うことは推奨しなくなる事を、まるで鬼の首を取ったように喜んでいる医師もいるようですが、困ったものです(笑)。
 一部の標準治療法至上主義者の医師は、どの薬がどのタイプの人に奏功するかどうか調べることが本当にお嫌いのようです。


(結論)
 TNBCの術後化学療法は少なくともパクリタキセルと5-FU系(ゼローダ)が含まれているのが最低線でしょう。現時点では理想はゼローダ+カルボプラチン(+アバスチン)と考えます。
 当サイトにTC療法とFEC→Tのどちらがまだましかという質問が多く寄せられます。これは不要な薬を入れるデメリットはありますが、まだ後者の方が良いのではないかと思います。
 再発後の治療法としてはゼローダ、アブラキサン、ナベルビンあたりを軸にアバスチン、エベロリムスなどの未承認薬も検討すべきでしょう。


(終わりに)
 TNBCに奏功しないアントラサイクリン系薬剤をいくら有名病院で名医が投与しても、奏功しないものはしません。ネットで有名な某医師がいくら保証しようとも、アントラサイクリン系薬剤の術後化学療法への使用は奏効しません。有名医師の「保証」は安心感を求める人には良いのかもしれませんが、神社のお守りと同じようなものです。

 さてTNBCの術後化学療法にアントラサイクリン系 薬剤を使うのが最高の治療法だと主張する先生方。浜田国松代議士という方をご存知ですか?その有名な言葉に以下のようなものがあります。

「自分の言葉に嘘偽りがあるなら自分は割腹して皆に謝する。君の言葉に嘘偽りがあるなら君が割腹して謝せ。」

 当サイトの指摘にもかかわらず訂正しないまま、もしも数年後に他の治療法を薦めていたら、当サイトでは徹底的に追及しますのでそのおつもりで。
 少なくとも私は、自分が行っているがん治療について、浜田国松代議士と同じくらいの気概で逃げるつもりはありません。

2010年7月27日


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