臓器別治療法


<乳がんの治療が大きく変わる。もはやセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清は不要になる  ACOSOG Z0010試験の衝撃>



 早期乳がんの治療が大きく転換する発表がありました。重要な発表にかかわらず 多くの乳がん専門医達がこの発表についてのコメントを避けています。大変不思議な現象です。当サイトは原則抗がん剤治療を主に取り上げ手術、放射線治療などは取り上げないことにしてきました 。しかしあまりに無視されているのであえてこの発表を取り上げることにします。

 数少ないこの発表のコメントを載せている記事を下に出します。後は乳がん専門医達の多くのプログ、ツィッターを見てもこの重要な発表を取り上げているのがあまりありません。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/cr/201012/517567_3.html

 この的確なコメントが全てでこれ以上私がコメントすることはあまりありませんが改めて整理します。
NSABP B-32試験では腋窩リンパ節転移がない乳がん患者に対してセンチネルリンパ節生検を行いその結果にかかわらず腋窩リンパ節郭清をする群とセンチネルリンパ節転移ありなら郭清し転移なしなら郭清せずの群に分けました。その結果両群に全生存期間、無病生存期間、初回の局所再発に全く差がない事が明らかになりました。この結果より腋窩リンパ節転移なしでセンチネルリンパ節転移陰性では腋窩リンパ節郭清は行わないとされこれは既に日本の乳がん治療のガイドラインとなっています。
しかしACOSOG Z0010試験の結果は更に衝撃的なものでした。乳房温存術を施行した早期乳がんにおいて腋窩リンパ節転移が陰性でセンチネルリンパ節転移がある例を腋窩郭清群と郭清しない群の2つに分けて比較したところ全生存期間、無病生存期間、局所再発に差が見られませんでした。

 この試験によりセンチネルリンパ節生検は施行の意味がない、腋窩リンパ節郭清は生存率には全く影響を与えないという結論となりました。
これにより日本の乳がん治療は大きく変わることになるでしょう。
乳がんは全身的な病気であることが改めて示され早期乳がんの治療成績はその手術後の治療法の優劣に左右されます。
乳がんの手術の 有名病院、名医、手術数を探すことは何ら意味のないことです。重要なことはその手術後の治療法の内容なのです。
この発表が出るまでに腋窩リンパ節郭清をした方には気の毒ですが今後はセンチネル生検、腋下リンパ節郭清を行わないことを勧告します。
万が一主治医がこの試験の結果をご存じないならこの発表のコピーを持参してください。腋窩リンパ節郭清をしないことで多くの合併症が避けられるわけですから。
 

2011年2月11日


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