臓器別治療法


<標準治療からオーダーメイド型治療へ>



 抗がん剤の投与量はどのように決められているのでしょうか?

  答1)主治医が自分に最適と思う量をその都度調節している。
  答2)病気の進行具合によって主治医が決めている。
  答3)体格(身長体重)に合わせて誰でも同じ量を投与している。


 実はがん拠点病院のほとんどの例では答3)となっています。地方によっては何時間もかけて通院し、大都市の大規模病院では外来で数時間待たされますが、 投与量は皆同じです。
 様々なマスコミが報じているがんの名医とされる医師を受診しても、まだまだ頼りなさそうな研修医を卒業したばかりの若い医師を受診しても、 あなたのがん治療は何ら変わりありません。これが現実です。

 せっかくたどり着いた名医とされる医師の治療が、実は医学部卒業後間もない医師の治療と何一つ変わらないとしたら?あなたはどうしますか?

 例えば保険認可されている抗がん剤が5つある中で、名医がいるがん拠点病院では実は2つか3つまでしか使えないが、全く無名の医師がいる無名の病院では 5つ全て使用できるとしたら?あなたはどちらの病院で治療を受けますか?
 標準治療しか出来ない病院と、患者一人ひとりにあわせたがん治療を行う(オーダーメイド型治療)病院とでは、あなたはどちらで治療を受けたいと思いますか?


■オーダーメイド型治療は休眠療法でも少量療法でもない

 多くの方が誤解される事ですが、オーダーメイド型治療とは決して少量投与でも休眠療法でもありません。 勿論エビデンスがない免疫療法や代替療法を組み合わせるものでもありません。

 本来は国立がんセンター等のがん拠点病院が率先して取り組まなくてはならないのに、手抜きをしたり興味がわかないために放置されているだけなのです。

 これまでに何人かの医師がその点に着目したのは彼らの優れた才能だと思いますし、近年ある医師がその点に着目した本を出版しており、読む価値があります。
 しかし、彼らには残念ながら欠点があります。その欠点があるためにしばしばエビデンス至上主義の医師から攻撃され、そうした反対派を納得させる議論が出来ないのです。

 がん患者一人ひとりにあわせた、個体差を重視した治療は確かに重要なのですが、それを各医師の技量、さじ加減に全て任せてしまっているのが彼らの最大の弱点です。まして、副作用が全くない抗がん剤治療をうたうのはデタラメを通り越して犯罪に近いとさえ思います。

 確かに数年以上前なら、各医師の技量、さじ加減は抗がん剤治療において決定的に重要であった事は認めます。 しかし、現在はまだ全てではありませんが、この抗がん剤がどのような人に奏効するのか、どのような人に副作用が出やすいのか、各個人の遺伝子を調べる事で大まかですが判る様になってきています。

 従って、こうした分野の知識がなく、ただ自身の経験主義だけでオーダーメイド型治療を行っていますと言う医師はもう信用できません。 最新の知見を頭に入れる事が出来ず、自分の経験がエビデンスを上回るかのような発言をする医師に至ってはもはや論外と言えるでしょう。


(結論)
 オーダーメイド型治療とは、エビデンス至上主義の医師も認めざるを得ない医学論文等の最新の知見に基づいて、各個人とそのがんの個体差、特性を分析し、 一人ひとりにあった治療を組み立てる事である。
 そこにエビデンスのない免疫療法、代替療法は入り込む余地はない。但し勿論未だ解明されていない事も多いので、医師の技量、さじ加減に左右される部分もまだまだある。




Ex1. 大腸がんステージ2であっても(1)術前P53抗体値が高い、(2)K-ras遺伝子変異がある、のどちらかに該当する場合は、通常のステージ3の術後より5年生存率が低い。
→従って、こうした例は術後化学療法として、FOLFOX+BVなどステージ3並みの治療を行う必要がある。

Ex2. EGFR遺伝子変異がある非小細胞性肺がんは、イレッサ又はタルセバが奏効しやすいが脳転移が早期より生じやすい特徴を持つ。
→従い、こうした例では1回しか使用できない全脳照射を温存し、γ-ナイフを優先させる。又、イレッサ(タルセバ)使用中はできる限り脳転移をこまめにチェックする。

Ex3. 乳がん OncoType DXとMammaPrintは画期的に乳がん(早期)の治療を変えたと言っても過言ではないでしょう。


2009年11月26日


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