臓器別治療法


<膵臓がんの治療の進歩>



1. GIP study
 GEM + CDDP併用は、たとえCDDPをweekly投与にしてもGEM単独より生存期間の延長はしない。

 (Journal of Clinical Oncology 2010 Vol. 28 No. 10 1645-1651.)

 大変残念な結果である。副作用の強いCDDPを少量投与に切り替えたが、結果は出なかった。したがって、白金製剤はL-OXPのみが有効となった。L-OXPはPS良好例に、より有用性がある。


2. CALGB 89904 study
 GEM + CDDP、GEM + ドセタキセル、GEM + CPT-11の3つの治療法は奏効率、生存期間ともに大差がない。

 (Journal of Clinical Oncology 2009 Vol. 28 No. 33 5506-5512.)


3. GEM + カペシタビン併用は、GEM単独より奏効率、生存期間ともに向上する。
 TS-1、カペシタビンなど5-FU系経口剤は有用である。

 (Journal of Clinical Oncology 2009 Vol. 27 No. 33 5513-5518.)

 2008年ASCO No. 15661でもGEM + L-OXP、GEM + カペシタビンの有用性が報告されている。


4. Nab-pacritaxelは有用性が高く、生存期間の延長に寄与する。
 (2008年ASCO No. 15523, No. 15592, 2009年ASCO No. 4525)
 (2010年ASCO-GI No. 214)

 当院の使用例では、有効率(PR以上+腫瘍マーカーが低下した3ヶ月以上のSD)は50%程度。奏効期間は4〜6ヶ月。
 Nab-paclitaxelが有効かどうかのバイオマーカーとしてはSPARCテストが注目されている。
(※切除組織があれば約500ドルで検査可能)


5. GEM単独 → GEM + S-1併用療法への移行は意味がある。
 GEM単独 → S-1単独は奏効期間、奏効率ともに低い。

 (2010年ASCO-GI No. 241, 2009年ASCO No. e15648)


6. タルセバ、アバスチンの併用は平均生存期間を大幅に延長する。

 1)GEM+カペシタビン+アバスチン+タルセバ 12.5カ月

  (Journal of Clinical Oncology 2009 Vol. 27, No. 33, pp. 5499-5505)


 2)GEM+カペシタビン+タルセバ 12.0カ月
  (2009年ASCO No. 4607, 2010年ASCO-GI No. 256)

  ただし、タルセバの有効例は20〜25%程度。EGFR変異とは無関係。


(まとめ)
 膵臓がんに有効な薬はGEM、S-1(カペシタビン)を軸にL-OXP、nab-paclitaxel、タルセバ、アバスチン、5-FU/LVなどが挙げられ、それらの薬をすべて使い尽くすことで、切除不能膵臓がんの平均生存期間1年半〜2年に到達することが可能になる。
 もちろん、IMRT、ノバリス、粒子線治療など放射線治療の可能性も追求する必要がある。

GEM+S-1 → GEM+nab-paclitaxel → FOLFOX+アバスチン
→ GEM+カペシタビン+タルセバ  などが考えられる。

2010年5月8日


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