臓器別治療法


<サンデー毎日の記事 術後化学療法が無効であるという記事は本当か>


 2005年5月29日発売のサンデー毎日に大変いい加減な記事が掲載されました。
 記事を書いた記者は平野幸治記者という方です。どこが間違いか?
(勿論固形がんの場合には<手術>という選択肢もあるわけだが、少なくても術後の化学療法は乳がんを除いて気安めと言うことになる。何ともショックではないか)という文章です。
 私も大変ショックを受けました。週刊誌の記者が間違いの記事を書いて週刊誌発売部数を伸ばして売り上げをあげようとする利益重視の売らんかなと言う姿勢にあらためてショックを受けました。NHK,読売新聞、産経新聞、日経新聞などのマスコミがが様々な考えがあるにせよ、がん患者のために有益な情報を提供しあるいは番組作成などしているの比べてこのサンデー毎日平野幸治記者の行動は同じマスコミ関係者と到底思えない行動です。もし意図的に間違いを書いたつもりがなければ速やかな訂正をお願いしたいと思います。

 さて術後化学療法の成績を解説します。

 過去にASCOで報告された大規模臨床試験で確定した内容のものにします。
 平野記者がアドバイスを受けた相手は<世界各国の化学療法に関する論文に精通している方らしいですから当然下の内容ぐらいご存知でしょう。

1.非小細胞性肺がん
 2005年ASCO #7013 
 Stage1〜3の術後化学療法にCDDP+VNRを併用すると有意に長期生存を改善する。(ANITA試験)
 2004年ASCO #7019 
 ステージ1bにCBDCA+タキソールを術後化学療法を行うと4年生存率71%と無治療59%より12%改善する。(GALGB 9633)
 2004年ASCO #7002 
 ステージ1bに術後UFT単独を行うと5年生存率81.8%、無治療77.2%と5年生存率4.6%改善する。

2.大腸がん ステージ3の術後について
 FOLFOX治療群、5−FU/LV治療群は無治療群と比較してはそれぞれ3年無病率、5年生存率共に5−10%改善する。すなわち無治療群とFOLFOX治療群とでは10〜20%予後が改善される。

 もう少し判りやすく述べます。
(大腸がんのステージ3の場合)
 無治療でも再発しない  50〜60%
 最良の術後化学療法(現時点ではFOLFOX)を施行しても再発する 20〜25%
 次善の術後化学療法(5ーFU/LV)では25〜35%の患者が再発する
 この事実をまとめると術後化学療法をしようがしなかろうが70〜80%程度の大腸がん患者の運命は変わりません。術後化学療法により再発が防げ運命が変わる患者は20〜30%です。そして5−FU/LVで再発が防げる確率は10〜20%、FOLFOXで上乗せ化学療法を行うと更に5〜10%再発が防げます。
 このデータを見て術後化学療法を行うのもよし、行わないのも患者自身の選択です。

3.子宮体がん
 #5002 子宮体がんにおける術後化学療法は有意に予後を改善する。
 (JGOC 2033)

 さて3つの腫瘍のタイプについて術後化学療法の効果について証拠の論文をつけて記しました。
 誤解しないように記しますが決して術後化学療法を推奨している訳ではありません。
 そのリスクとリターンを天秤にかけた上で患者自身が決めるべきものです。術後化学療法の効果について詳しいデータを患者自身に説明できず否定することも全面的に肯定することも専門家として正しい態度ではありません。

 ついでに言えばサメの軟骨ががん患者の利益につながるどころか寿命を縮める結果になる論文も発表されています。サメの軟骨を過去のサンデー毎日で推奨していた責任をどう取るつもりでしょうか?
 もし今度の記事に何らかの訂正する動きがあれば当方としては速やかにこの記事を訂正、削除する姿勢があることを表明しておきます。

2005年5月30日


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