在宅・緩和ケアでもできる治療


<在宅・緩和ケアでもできる治療総論>


 現在の医療保険制度で未承認薬、保険適応外薬、保険適応量以上の使用などは、 自由診療又は病院の持ち出しで(つまり病院負担)使用することになります。 臨床試験も基本的には同様で、病院もしくは製薬メーカーの負担で使用しています。

 こうした薬を使用することは自由診療となり、保険内診療と組み合わせて行うことは 混合診療となるため禁止されています。しかし現実には国公立病院、がん拠点病院、 大学病院を含め実質的な混合診療は多くの病院で行われています。
 そのやり方については何度もこのサイトでも取り上げていますが、改めて記してみます。


1.自由診療の部分だけ別の医療機関で行う。

 特に大腸がんの血管新生阻害剤アバスチンを主治医の黙認、あるいは主治医の承諾なしで 投与していた患者さんは昨年、今年あたりから急増し、全国で数百人にのぼると推定されます。 この患者さんたちの殆どはこの投与の仕方をしていました。

 どれだけの方が実際に主治医の了解を得ていたか今となっては歴史の闇に隠れていますが、 そうしたやり方で生き延びた患者さんが少なからずいた事は、日本のがん治療には相当 インパクトを与えていると考えます。同時にマスコミの報道、例えばがん治療に優れた病院は どこかの類の記事に痛烈な疑問が提出されます。

 なぜなら、いかなるがん専門病院で治療しようとも、いかなる名医が治療しようとも 保険内診療のみの場合と比べ、アバスチンのような未承認薬を併用したほうが治療成績が 上回るという現実と、そうした薬を使用して生き延びているがん患者さんの存在は、 まぎれもなく日本のがん治療を一変したからです。

 同様にマスコミ等で報道されている、がん専門病院の成績にも疑問が生じています。 (それらの病院が、がん患者さんの行っている治療を全て把握している訳ではないため) つまり皮肉なことですが、がん専門病院の治療成績を押し上げているのは、もしかすると 主治医の了解なしに未承認薬を使用している患者さんである可能性もあるからです。


2.患者さん自身が未承認薬を自己購入し、直接病院に持ち込んで投与代無料で 投与してもらう。

 私のお奨めはこれです。このやり方の利点は、未承認薬代をピンはねをする 悪徳医師を駆逐でき、患者自身が主体性を持ち自己責任の基で未承認薬を使用できることです。 (医者が患者を騙して怪しい治療すると報道したくなる毎日新聞などにも、痛烈なアイロニーになります。)

 また「医者は患者をその専門知識で特定の治療法に誘導したり、いくらでも騙せる」と 主張する一部のがん専門医にも説得材料となるでしょう。
 がん患者とがん治療にあたる医師は本来対等のはずです。がん患者さんが自己責任の基に 自己判断した治療法を医師は尊重すべきです。その結果がどうであろうとも。
 そのために医師はその専門知識をできるだけ提供する、主観を混ぜないで。

 上記のように発言する医師がいたとしたら、それは家父長主義のかけらを引きずり、 実際に自分の都合の良いように患者側を騙した経験があると考えざるを得ません。
(私事ですが、私が直接診療しているがん患者さんの殆どは、私が仮に騙そうとしても 駄目でしょう(笑)。そんなレベルの方はまずいないので。)

さて前置きが長くなりましたがここからが今回の本題です。


3.まるめ診療を行っている医療機関で投与する。

 未承認薬であろうが保険外薬であろうが、その投与が保険上混合診療にならず、 保険内診療で行える医療機関が存在します。勿論投与を保障するものではなく、 あくまでも保険上可能だというの話です。

 A)在宅支援診療所の届出を行っている医療機関の大半。
   厳密には在宅末期訪問診療を査定している医療機関。

 B)緩和ケア病棟の医療機関

 この2つは1日の医療費が定額制であり、つまりいかなる診療を行おうと、 あるいは手抜きで検査、点滴などを一切しなくても、医療機関に入る収入は変わりません。
 病院側が自腹で保険適応外薬を使用したとしても、あるいは医師や職員が、 がん患者さんに笑顔で声をかけ手を握って励ましても、1日に入る医療費は同じです。

 仮に承認済みの薬でも、例えば痛み止めの薬を使用する場合でも同じです。
 高価だが末期患者の痛みを取るのに適している薬(例えばデュロテップ、パシーフ、 オプソ、カディアン、オキノーム、オキシコンチンなど)と、また、安いが古い薬であり 末期がん患者の痛みを取るには一般的には不適切な薬(例えばモルヒネ錠、モルヒネ水、 アンペック座薬、MSコンチンなど)と、どちらを使用しても同じなのです。

 高価な痛み止めを出せば出すほど、上記の医療機関の場合自らの収入が減ることを 患者側は良く覚えておいてほしいと思います。
 これらを目の前の患者さんの痛みに対して利潤を考えて治療にあたるか、苦痛を取ることを 最優先して治療にあたっているかの判断の1つの目安にしてください。


 話が少々ずれましたが、この2つの医療機関はその保険上の特異性が故に 未承認薬を使用しても何も問題なく、仮にそこの医療機関ではそうした薬への知識がなく 投与はできなくても、他の医療機関をでの使用を拒否することはできません。
 もしそうした緩和ケア病棟が仮にあるとしたら、それは患者側の生存権を無視した 法律違反となります。実際には多くの場合黙認が大半のようです。

2007年7月5日


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