印象に残ったカルテ


<症例1:卵巣がんステージ4(50歳代女性)>


 卵巣がんの標準的治療法であるTJ療法(カルボプラチン+タキソール)を 某がん拠点病院で施行。
幸い良く奏効したが強い吐き気、脱毛が生じ、体重53kg→47kgへ減少。  家でも寝たきり状態が継続し家事もできない状態となる。
 当サイトで相談を受け、遅延性吐き気に有効なAprepitant(Emend)、ヒスロンHの服用を推奨する。 患者はこれらの薬が未承認・保険適応外薬である事を理解した上で、自分で海外から 購入することを決意し、主治医に相談する。

 主治医の答えは

1.当院では未承認薬の服用は一切認めないので、Emendを使用するなら当院での治療は これ以上できない。

2.強い吐き気がでるならそれはそれでしょうがない。それで化学療法が中止になるのも 大事なデータであり、あなただけがずるをして一人だけEmendを使用し、最後まで治療 できてもデータにならない。

3.これ以上の化学療法ができないなら緩和ケアを紹介する。

という驚くべきものだった。


 患者は結局主治医に了解を得ることなく、自分で自己購入して薬を使用。 無事脱落することなくTJ療法を終了し、顕著に縮小して完治手術を受け、 今なお再発していません。
 Emendが一人の命を救った例として、また私は相談を受け回答しただけで、 患者が一人で決断し行動した例として心に残りましたので報告します。


※注)ちなみにこの主治医はマスコミ等にも良く登場している名医と呼ばれる一人です。
 Emendはたかだか吐き気止めの薬です。治療に何ら影響を与える薬ではありません。 結果的に主治医は知らぬばかりなりを絵に描いたような例ですが、主治医の返答に驚いた方も 決して少なくないのではないでしょうか。

 現在までにEmendは、私が知る範囲でも100名以上の方が主治医に了解を得て、もしくは 了解なしで内服使用されていると聞いています。

2007年7月5日


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