印象に残ったカルテ


<症例2:大腸がん肝・腹膜転移(40歳代男性)>


 初診時に手術不能の大腸がん、多発性肝臓転移・腹膜播種と診断され、イリノテカンも 使用できないため、FOLFOX療法を行うが奏効率は30〜40%、平均生存期間は10〜12ヵ月程度 と告知を受ける。
 数箇所の病院を廻るがすべて同じ答え。
 当サイトに相談を受け以下の治療法を提示。

 現時点で最強とされるFOLFOX+Cetuximab又はFOLFOXRI(FOLFOX+CPT-11)のどちらかを選択すべき。 これにより手術の可能性が30%以上見込め、その場合は長期生存あるいは完治も可能になる。

 また手術できないまでも、これにより腹水の減少と腹膜播種のコントロールができれば CPT-11も使用できるようになるので、その場合平均生存期間3年以上、3年生存率50〜60%は見込める。


 幸い主治医も協力的であり、FOLFOX+Cetuximabを7コース施行。
 1コース目よりG2程度の発疹は出現したが、副作用もそれ以外は目立つものはなく、外来で充分施行可能。
 腹水の消失、肝臓転移の大幅な縮小、腫瘍マーカーCEA1,000代→5へ顕著に低下し、 治療開始4ヵ月後に原発切除、肝臓転移切除のほぼ完治手術を施行して無事退院。

 その後再発予防としてFOLFIRI+Bevacixumabを6コース、FOLFOX+Bevacizumab6コース施行。
 術後化学療法終了後、本人の希望でCOX-2阻害剤+シメチジン服用中。
 手術後2年経過し、今なお再発の兆しなくPET-CT、腫瘍マーカー共に陰性。


 全てがうまくいった模範的な経過です。
(医師、病院同士の連携もうまくいっている)
 初診時の患者の迅速な決断が運命を変えた代表的な例で、心に残る症例です。

 未承認薬の使用は何も再発時、標準的な治療法に耐性化したときのみに使用するだけではなく、 完治を目指すためにも使用することもあるのです。

2007年7月5日


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